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第3章 あいわな A×N
俺たちには珍しい、長い静寂が続いた。
いつもは相葉さんが何かを喋ってて、
俺がゲームをしながら適当に返事をしてる。
でも、今日はそんなのもない。
そんな余裕すらなかった。
もうこのままじゃいられない。
「でも、俺は友達は嫌だ。」
「え…?」
泣きそうな顔をしてる相葉さんが、
不思議そうな顔をして俺を見る。
何言ってるの?って言いたいんでしょ?
顔にそのまんま書いてあるよ。
「友達じゃ足りなくなった。」
「じゃあ、親友?」
「違う。
俺は恋人がいい。
…好きだから。」
全部終わった。
あーあ…。せめて、あと1回は
あの生姜焼きを食べたかった。
好きなんだよ、相葉さんの生姜焼き。
部屋は相変わらず静かなまま。
それに耐えられなくなったのは
やっぱり俺の方らしい。
「…帰る。」
少ない荷物を持って、玄関へ向かう。
「あ、ニノ待って!」
追いかけてくる音がするけど、
だけど気にしない。
そうじゃないと泣いてしまいそうだから。
「また来て欲しいの!」
相葉さんが叫んだ言葉に、
思わず自分の耳を疑った。
「…は?何言ってー…」
俺も好き。
そう相葉さんの口が動いた気がした。
すべてがスローモーションに見えた。
「また来てよ。
今度は恋人として…ね。」