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第1章 リッツ N×A
メールもマメじゃない。
電話だって5日に2回。
愛想を尽かされてもおかしくない。
機嫌が悪くなっても仕方ない。
離れてる分を埋めるには少なすぎる。
俺だったらこんなやつ嫌だ。
それでも雅紀は、いつもいつも
「体調には気をつけてね!?」
「大丈夫?」
「大好き」
何でも素直にぶつけてくれる。
思ってる気持ちも、愛も全部。
だからかな。こんなに愛おしいのは。
今は関西国際空港。
東京行きの飛行機をひとりで待つ。
雅紀、どんな顔するんだろう。
喜んでくれるかな。
笑ってくれるかな。
凄く驚くんだろうな…。
「え!!!!」なんて叫んでさ。
「…会いたいな。」
あと数時間で会えるのは分かっている。
だけど、会いたいんだ。
雅紀と同じ会社にいた時に
仲良くしてた同僚には話をした。
今日、そっちに行くからってことと、
サプライズのサポートをして欲しいって。
潤くんも、翔さんも、大野さんも
みんな快諾してくれた。
土曜日だから仕事もないって。
潤くんは空港まで来てくれるって。
そんなみんなに会えることにも、
少しドキドキしてる自分が居たりする。
飛行機に乗り込む前。
1通のメールが届いた。
『和は今日も仕事なのかな。
頑張ってね。
体調には気を付けて。
大好き。』
雅紀って、本当に…。
「すぐに行くから。」