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第1章 リッツ N×A
空港に着いたら、もう潤くんが
待っていてくれた。
「潤くん!」
「ニノ、久しぶり。」
駆け寄りながら名前を呼べば、
爽やかな笑顔が帰ってくる。
やっぱり、1年経ってもイケメンだよ。
さりげなく俺の荷物を持ってくれるあたり、
女子が放っておかない理由も分かる。
…大野さんっていう恋人と、
翔さんっていう恋人がいるけど。
「ニノは変わんないねぇー。」
「それを言うなら潤くんもだよ。
隣に潤くんがいると眩しい。」
「何だ、それ。」
潤くんとは、大学からの友達だから
割と何でも気軽に話せる。
他愛ない話をしながら潤くんの車に
乗り込んで、向かう先は大野さんの家。
「雅紀、来るよね?」
「大丈夫。ちゃんと言っといたから。」
「…久しぶりだなぁ。
翔さんと大野さんと会うのも。」
「いや、そこは雅紀って言わないの?」
言えるわけないじゃん。
恥ずかしいよ。
さすがに潤くんの前でも、
そんなことを言うのは…ね。
「相変わらず素直じゃねーな。」
「わかってるよ。」
それがきっと淋しい想いを
させてるってことも。
もうすぐ会える。
あと3つあとの信号を曲がれば…。
「潤くん、ちょっと飛ばして。」
「前からパトカー来てんだけど?」
「潤くんなら出来るから。」
「いやいや出来ねーよ。」