テキストサイズ

STORIES

第6章 記念日には A×N




そんなメールで心が安らいだのも束の間。

相葉はまた焦り、朝から感じていたものより
何倍も強い罪悪感に襲われている。

「何がいいんだろう…。」

服でもいいかと思ったが、
よく考えれば普段着る服のほとんどは
相葉が買ったものだと気が付いたらしい。

元々二宮にはその辺の興味が全くないのを
思い出した相葉は、またため息をついた。


ふと、周りを見渡した先に何かを見つけた。

外からでも見える店のショーウィンドウに
相葉の目が向いたらしい。

相葉は、純粋に美しいと感じていた。
きっと自分の恋人にピッタリだと。


じっと見ていて、ふと我に返って
顔を上げた時、その店の店員であろう人と
相葉の目が合った。

相葉は、人見知りな男だった。

外見からはそう捉えることは難しいが、
何せ心がピュアなのだ。

ピュアではあるが、大人でもある。
初めて見るもの、触れるもの、感じるもの
すべてに、好奇心を持つだけでなく
恐怖や緊張を感じるのも、もっともな話だ。

普段の彼なら、すぐに目を逸らして
立ち去っていただろうに、

この店の雰囲気か。宝石の輝きか。
はたまたその店員の笑顔がそうさせたのか。

何故か目を逸らすことが、
相葉には出来なかった。


ともかく、彼は店の中へと
足を踏み入れてしまったわけなのだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ