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第11章 恋は戦場 S vs N × A
いい方に転んだからといって、
サラサラ諦める気なんてない。
付き合ってはいない…んだと思う。
だって、あの二宮だぞ?
付き合ったら報告のひとつや勝ち誇ったような
言葉のひとつを掛けてきそうだろ?
それがまだない。
そこに少し、希望を持ってる自分がいる。
たとえどんなに目の前で、
「ねぇ、相葉さーん。」
「んー?」
「これなんだけどね…?」
ゼロ距離で顔を付き合わせてるところを
見たって、めげないぞ。
「ちょっと近くない?」
「え?そう?」
「うん、そう。」
二宮がキラースマイルで相葉に語りかけて、
相葉の顔がぽっと赤くなってたとシテモ…
って、やっぱり無理だ。
「こんなんじゃ仕事になんねぇ…。」
周りの後輩たちからも、
「鬼の櫻井がどうしたんですか。」
なんて言われる始末。
やっぱり何としても聞かねば。
「おい、相葉。」
「はい!」
名前を呼べば、軽い足取りですぐに
俺の方へとやって来る。
「犬みたいだなぁ…。」
「へ?櫻井さん?」
「あ…。…いや、何でもない。
ところで今日の夜は暇か。」
「夜ですか?大丈夫ですよ。」
優しくニコっと爽やかな笑顔に
不覚にも目を奪われる。
その相葉の後ろから、殺気立った視線。
二宮だな。
これみよがしにアイツにも聞こえる声で
言ってやる。
「大事な話があるから、2人で飲もう。」
「はい!」
今日は来ないでくれよ、二宮。