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第11章 恋は戦場 S vs N × A
その日から、会社にいる時間の
大半を相葉と一緒に過ごしている。
外回りも同じ。
取り引き先の会社での打ち合わせはもちろん、
俺たちの会社でもだ。
正直、こうやって一緒に仕事をするまでは
相葉が仕事が出来る方だとは思ってなかった。
確かに、決して仕事が早い方ではない。
時々横着をしてミスしたり、
入力ミスをしてたり…。
だけど相葉の凄い所はそこではなかった。
ミスをしない、出来るヤツなら
山ほどいる。
それでも相葉がここにいられるのは、
持って生まれた、「人に愛される力」だ。
俺たちの会社は外資系だから、
取り引き先は必然的に海外が多い。
相葉はこの会社に入社した時には、
驚くほど他言語を話すことが出来なかった。
「こいつ、何で入社出来たんだ?」
ってくらい。
でも、持ち前の明るさと誠実さは
言語をも超えるらしい。
たどたどしい英語のプレゼンでも、
誠意が伝わるらしく、コイツと組んだ
仕事で、失敗はほぼない。
「お前って、凄いな。」
「は?」
「あ…。
いや、何でもない。」
「はぁ…?」
昼時、2人で入った取り引き先近くの
定食屋。
向かい合った席で、いつもの唐揚げ定食を
食べる相葉を見たら、思わずそんな言葉が
漏れてしまっていたらしい。