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第11章 恋は戦場 S vs N × A





思い返せば、こうやって二宮を
可愛いと思ったのは、何も1度だけでは
ない気がしてきた。


確かに、相葉の事も好きだ。

だけどその相葉の裏側には、
いつもコイツがいて。

初めは憎たらしかった。
コイツさえ居なきゃ、今頃って。


だけどその裏側の気持ちに、少しずつ
惹かれていってる自分もいた。

プロジェクトで相葉と2人でいた時も、
何か足りなかった。

言葉ではうまく言い表せないような違和感。


それがこれだったのか。



大きく息を吸い込む音が聞こえる。


「俺、変なんですよね。

保留って言われた時、確かに
悔しかった。
櫻井さんなのか…って。

でもそれは、相葉さんを取られた
悔しさじゃなくって…

櫻井さんを取られる悔しさでした。」


ずっと窓の方を見ていた瞳が、
ゆっくりと俺を見る。

赤く染まった頬。
潤んだ瞳。

それだけで十分、嘘偽りではないって
信じる事が出来た。


「すいません、ここで降ります。」


タクシーの運転手にそう告げると、
すぐにタクシーを降りた。

少し道を進めば、人通りのない
細い裏道が見える。

そこへとそっと二宮を導いた。


「櫻井さんが相葉さんの事を好きだって、
分かってます。」
「何にも分かってない。」
「…え?」

「今気がついた。
俺は、お前が。二宮が好きなんだって。」

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