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sugar-holic2

第11章 約束を叶えるために

カランと音を立てて歩いていく。

初めて来た温泉地の街並みは、普段生活している場所よりも人通りは少ないのに色彩豊かだ。

お土産屋さんや民芸品の雑貨屋さんが軒を並べているから…かな?

「アンタが何を考えてるか知らないけど」

倉田くんが何かを言いかけた。

だけど、それとほぼ同時に、あるものを見つけてしまった。

「あ、足湯があるよ!」

早歩きで足湯に近付くと、後ろから呆れた声がかかる。

「入るんですか?」

「え?嫌なの?」

振り返れば、声音と寸分違わない表情をしていて

「別に足だけ浸からなくても、宿に行けば風呂に入れるのに」

「それとこれは違うでしょ」

せっかく来たんだから、入らない手はないじゃない?

「足、濡れますよ?」

そう言うと思った。

私は含み笑いを浮かべると、バッグからビニール袋を出して掲げた。

「ちゃんとタオル持ってきたんだ」

顔の前で振って見せると、途端にはぁ…と大きくため息をつかれた。

「倉田くんもせっかくだから、ね?」

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