テキストサイズ

sugar-holic2

第14章 違う声が聞こえる

「んっ…や、ぁ…」

このまんまじゃいつも通りだ。

このまんま流されて、聞きたい答えを聞けなくて。

どう付き合ったらいいか、何で言ったらいいのか分からなくなって…一線を引いてしまう。

そんなの…もう、嫌だ。

「も…やめ、て…」

上がった息で懇願すると、倉田くんの動きが止まった。

「こんなの…ズルい…」

押さえ付けられた手を外そうと引っ張ってみると、余計力を込められた。

指の又に指を差し入れて握られる。

あ…この握りかた。

前にタクシーの中で手を繋いだときと同じ…だ。

だけど、あの時と違うのは…

「ズルい?何が!?」

倉田くんが何を考えてるのか、予測が出来ない。

「アンタこそ、ズルくないか?」

耳元で呟かれて、言葉の意味よりも、その声に体をよじらせた。

「そうやって…体だけで心は開かないのな」

耳の縁から耳殻を舌先で辿られ、その刺激に体をビクビクと震わせる。

「こんな状況なのに、気持ちいい?」

倉田くんが短く笑った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ