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第15章 聞き酒

その日の夕飯はハーフビュッフェスタイル。

お刺身の盛り合わせと、飛騨牛の陶板焼きが運ばれてきて、あとの料理は好きなものを取りに行くスタイルだ。

だけど、考え事をしていたせいで、何を食べたのか、どんな味だったかなんて全然覚えてない。

そんな状態で食事が終わって、部屋に戻ろうとすると

「松岡様」

ホールスタッフの男の人が声をかけてきた。

「お部屋にご依頼の品をお運びしてありますので」

「あ…はい。すみません」

そっか。夕食の後で、ってお願いしておいたんだった。

「どうぞごゆっくりお楽しみください」

「ありがとうございます」

にっこりと会釈をして立ち去っていく姿を見ながら思う。

うん、社員教育ちゃんとしてるなぁ。

「頼んだもの?」

倉田くんが聞いてくるから

「ん。部屋に戻ってからのお楽しみ」

そう言って、にんまりと笑いを浮かべた。


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