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sugar-holic2

第15章 聞き酒

お猪口を差し向けて注いでもらうと

「親戚のおばちゃんが嫌なら、友紀『くん』は無しだな」

わざわざ『くん』に力入れて言わなくても!!

学校の先生…か。

「じゃあ…『ゆきちゃん』?」

ベリーくんが教えてくれた、倉田くんの学生時代のあだ名を言うと、眉間にシワを寄せて嫌そうな表情をして

「ふざけんなよ」

一言で片付けられた。

「わかってます。わざとだよ」

クスクス笑うと、倉田くんは舌打ちをしてお酒を注ぎ…あ、空になった。

空の瓶に蓋をして、①の瓶に手を伸ばしながら

「あ、でも会社では呼ばないからね!!」

一応、念押ししておかないと。

「分かってます」

「そっちも、今まで通りで…ね」

「はいはい」

お猪口を口に運び、手を振って、いかにもって感じで話を打ち切られた。

…もうっ!!

①を開けて自分のお猪口に注いでいると

「じゃあ、そっちは?」

「え?」

「当たったら、話を聞けって」

あ…ご褒美の話…か。

「どんな話?」

「あ…うん」

頷いて、一つ息をついた。

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