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sugar-holic2

第5章 行方の知れない想い

袖口あたりの肌を撫でられただけ。

たったそれだけなのに。

ゾクリ、と背筋に刺激が走る。

「手首。『夏についた跡』でしょう?」

その言葉に、慌てて手首を隠した。

あの時、倉田くんのネクタイで縛られた跡。

手首に擦れたような跡が残ってたけど、それも1週間くらいで薄れていって、今はもう無い。

「あれ見ると、『俺の』って感じで良かったのに」

「…っ!!やめてよ…!」

ただでさえ思い出すと恥ずかしいのに!!

「そう言われるのには、抵抗感無いんだ」

抵抗感が無い訳じゃない。

だけど、あまりにも当たり前のように言われ続けて。

さらに比呂子さんにバレた今では、そこまで否定する気にならないだけ。

「今、仕事中!話を戻すから!!」

口を尖らせて不満げに告げると

「脱線させたのはそっちなのに」

倉田くんは涼しい顔で私を見た。

あぁ、もう!!

仕事の話がしたいのに、ちっとも進まない。

順序だてて…なんて考えなければ良かった!!



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