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ビタミン剤

第7章 人魚のナミダ



「ウフフ、ジェイあのさ、
じゃあ俺とキスしてみよっか?」


「はあぁ?」


「俺けっこうキス上手いのよ。
ジェイはフリーだし。今なら誰でも
唇くっ付け放題だもんね。」


「わけわかんねぇし。
っつうか、お前には相葉ちゃんがっ
んっ、ん…やめっ!。」


ニノの柔らかな唇が重なり
無遠慮に吸い付いてきて、舌先が
ぬるりと伸びてくる。
絡ませて絡み合って吸い上げて
名残り惜しげな唾液が糸を引いた。

離れたと思ったら
間髪入れずにまた塞がれて。
下唇の厚みを確かめられてるように
ついばむニノ。



背筋からぞわりと感じる悪寒。
首のあたりの、あの小さな痛みが
激しさを増してくる。



翔さんとのキスには
こんな感覚なんてなくて
込み上げる熱に浮かされるみたいな
心地よいキスだった。

だけど
翔さん以外の相手にはキスされると
全身に冷たさを感じて痛みや
息苦しさを覚えてしまう。



「やめっ!
も、っ…や…ぅん、…。」


ニノのキスはしつこくて長くて
きっと恋人同士なら極上のキス。


だけど俺には嫌悪感と、罪悪感
そして消失感しか感じなかった。




「…翔……さん。」




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