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ビタミン剤

第7章 人魚のナミダ




「あらあら。
人がせっかく慰めてあげようって
本気出してるのに。
今更、自分がふった恋人の名前
呼ぶのってどうなのさ。」


目頭から流れる涙には自分でも
驚いてしまう。
翔さんの名前を呼んだことにも。


「ごめんねジェイ
泣かすつもりとかなかったんだけど。
あーあ、もう泣かないでよ。
俺が悪者みたいじゃん。
とりあえず今夜は退散するね。」



舌先をペロリとだす。

とぼけた顔をして右手を
ひらりとあげて立ち上がるニノ。
俺は涙をふいてテーブルの上の
食べ残しを手早くまとめて
持って帰ってもらうことにする。


「あんがと、
こんなにたくさんいいの?」


「相葉ちゃんに食べてもらってよ
今日は無理言ってごめん。」


「ほら、その顔。
けっこうジェイもかわいいとこ
いっぱいあるよ。
泣き顔もそだけどさ。
あんま、悩まないで素直にぜんぶ
翔ちゃんにぶつけちゃいな。
どーんと受け止めてくれるよ。」


「…ありがと。」




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