
ビタミン剤
第7章 人魚のナミダ
「違う!今のも言いたかったけど
本当はもっとちゃんと、
翔さんに言わなきゃいけない事がある。」
「言わなきゃいけないこと?」
心臓が跳ねる
脈拍数があがってきてる
しっかりしろよ。
「俺、翔さんが好きだ。
翔さんにあんな酷いこと言って
自分勝手に別れたくせに
今更だって思われても仕方ない。
けど、
やっぱり翔さんが好きなんだ。
俺には翔さんしかいない。」
「………潤…」
「本当にごめんなさい。
俺、翔さんと別れてからひどく
荒れまくって、なんかもう馬鹿な
ことばっかしてた。男でも女でも
誰でかまわないってくらい
私生活もめちゃくちゃで…」
「誰でも?」
「うん。
でも、誰ともムリだった。
誰とキスしても気持ち悪くて、誰かに
触られたりしたら嫌悪感と吐き気がして
誰にも一度も感じたりしなくて。」
「…誰にも?1度も?」
「ごめんなさい!
翔さんが俺のこと心配してくれて
気付かれないようにいろいろしてて
くれてたのに。
俺、サイテーな事しかしてなかった」
翔さんの優しい眼差しが俺を真っ直ぐ
見つめてくれてる。
ちゃんと伝えたい、俺の気持ちを。
