
ビタミン剤
第7章 人魚のナミダ
翔さんを忘れようもしても
他の誰も代わりになんてならなくて。
ずっとずっと
俺の中には翔さんしかいなくて。
ガキで、馬鹿だから離れてみて
自分がこんなにも翔さんのことが
好きなんだってわかったんだ。
我慢すればするほど涙が溢れてくる。
「俺……翔さんだけ。
俺は翔さん、あなたが好きだ。」
「潤、潤…おいで。」
翔さんが両手を広げてくれる。
力強くぎゅっと抱きしめてくれる。
「翔…さん」
「潤、潤。
ありがと、俺も潤のこと好きだよ。」
翔さんのキスはやさしくて
そっと唇に触れてくれるキス。
「ねえ、潤。俺らもう少しだけ
このままでいようか。」
「このまま?」
「なんかね、今回は潤の病気って
弱味につけこんで、
なんか俺がいろいろしちゃった
みたいだしね。」
「ちがっ!それは違う、翔さんは、
俺を助けてくれてっ!」
「誤解しないでよ。
潤はけっこう物事を悲観視する
傾向があるから心配なんだよね。
潤が、ちゃんと元気になって
もっと冷静に俺との事を、
これからの事考えてほしいから
今から話しをするね。」
