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ビタミン剤

第13章 ぼくのペット

Jside


「潤、先に風呂はいってきなよ。
俺その間にこいつを寝かせておくし。」

ぼんやりしながら翔さんの膝枕で過ごしてると
髪を優しく撫でながら風呂を勧めてくれる。


「…ん、わかった。翔さん…。」


「なに?どしたの潤。」


一緒にはいらないの?
そう問いかけたいのに素直に口に出せなくて
ねだるような視線で翔さんを捉えてしまってたことに気がついて慌て視線を反らす。


「ううん別に、なんでもない。
じゃあ先に…風呂もらうね。」


俺の気持ちに気づいくれないことに文句なんて
言えなくて重い足取りで風呂場へ向かった。



「翔さん、お先。」

「潤、ちゃんと温もった?」


せっかく湯船に浸かって身体は温もったけど
まだ心が冷たいまんまみたいなんて言えないよ


「……うん」


翔さんの胡座の中で丸まってるカイザーを見つけたら、やっぱり少しイラっとする気持ちが込み上げそうになってきたから逃げるようにキッチンへ逃げ込んで、ミネラルウォーターを飲むことした。


「カイザー、まだ寝てねえの?」

「ああ、もうちょいかな。
潤代わって、もう少し抱いてやっててよ。
俺も風呂はいりたいし。」

「…ん、わかった。
ちょっと、なにすんの、翔さんっ?」


カイザーをそっと抱き上げて俺の膝の上に置いてくると、いきなりシャツを脱いで裸になるからびっくりしてしまった。


「ああ、こいつを俺のシャツで寝かせるときに包んでやっててよ。」

「なんで…」

「人肌のぬくもりも匂いもあるから、これだとひとり寝させても寂しくなんないかなぁとか思ってさ。
それにこれもう噛まれて破れてもいいヤツだし。」


脱ぎ捨てたシャツを俺の膝の上のカイザーにかぶせるように放り投げて、ゆっくりと背中をむけて風呂場に向かう翔さん

膝の上のカイザーはあどけない表情でシッポまで
丸まって眠り込んでる。翔さんの匂いのするこのシャツで包み込んであげるとか
そんな真似絶対にしたくない
シャツを握る指先の色味が無くなるくらい握りしめてた。

たぶん今の俺の顔はひどく歪んでるに違いない。


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