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ビタミン剤

第15章 陽だまりの午後



生命の輪廻の輪

俺たちは何度も何度も出逢い、幾千の別れを繰り返してきてきた。
それぞれ別の場所で生まれ落ちて、だけど俺たちの運命は不思議なくらい交差してきたんだ。

ある時代では身分違いの儚い想い
ある時代では敵味方で出逢った
ある時代では義理の兄弟だったり
どの時代でもいつも強烈に惹かれ合ってしまう運命



俺の頭の中、大脳皮質部分

その記憶の中にはどういう訳か、今迄の2人の運命を螺旋状に綿々と紡いできてて、重なり合いながら小さく細かくたたみこまれている
ふとした拍子でその記憶が断片的に現れたりする

ほとんどが夢の中での見る抽象的な映像




深夜に帰って来た翔ちゃんの瞳が見開かれて歓びの色に染まっていくのがすぐわかった。
そりゃあ愛する旦那様のリクエストに応えてあげてるんだもん、ちゃんと反応してくれないとね。

まさか鏡を前にして裸エプロン姿にされるまでは思ってもみなかったけど。

翔ちゃんの興奮度合が最高潮なんだってことが理解できて嬉しかった
湯船ではヤリ過ぎたかなってくらい俺も興奮しちゃってたしね。

肌と肌、肉と肉とがぶつかり合う激しい音が浴室内を木霊して、どろどろに溶け合うまで愛してくれる翔ちゃんがいた




へろへろでベッドに横たわる俺に口移しで飲ませてくれた冷えた水。

意識が遠のく中で新たな記憶の映像をみた
戦時中、激戦の中で
鉛玉を体内にくらって瀕死の部下の俺を抱きしめて、最後の願いで俺の唇に死に際の水を飲ませてくれてる将校服姿の翔ちゃん

俺は運命の輪廻の中で
何度翔ちゃんの腕の中で命果てていったんだろう。




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