
ビタミン剤
第15章 陽だまりの午後
「どっわぁアアーー!!」
ぼんやりと思い出に浸ってたら翔ちゃんの雄叫びが響き渡った。
海くんのオムツの中がたいへんなことに
なってるってそりゃ食べて飲んでるんだもん。
不慣れな俺たちにはなかなか覚悟がいる作業
結局早めの入浴をすることになって、湯船でご機嫌の海くんを抱いてる笑顔の翔ちゃんを見たら俺の中の鎮まったはずの燻りが再び情念の炎をおこそうとしてきた。
「ほんとそっくりさんだね、おでこだしたらまるで親子だもん、写メ撮っちゃおう。」
見ていたくない光景
その場から立ち去るのが1番良かった。
笑顔引き攣ってなかった?
目は鋭くなってなかった?
まるで夫婦ゴッコ
じゃなくて、夫婦…のつもり。なのに俺たちには、約束される確実な明日なんてどこにもない
ゴッコとつもり
どっちが滑稽なのかな
翔ちゃんが海くん抱いて湯船から出てきた。
俺はご機嫌の海くんをバスタオルにくるんで拭いてあげる。
深夜から早朝にかけて激しく愛し合って浴室内
湯あたりしてぐったりとした俺を裸のままで介抱してくれた翔ちゃんの逞しく身体。
それは俺だけのもの
いい子だから俺たちの邪魔しないで
手足をばたつかせてお風呂あがりのご機嫌な様子の海くんに、そっと伝えた台詞は案外本気のモノ
