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ビタミン剤

第15章 陽だまりの午後



しばらくしてリビングに戻ってきた翔ちゃんの格好は、バスタオル一枚を腰に巻きつけてるだけ。
上半身くらいは裸かもって考えてたから思わず見惚れちゃった。

気がついたら熱っぽく視線を送ってたのに、
今日に限って鈍感なんだもん。


「ウフフ、肝心なときに鈍感さんなんだもん。
1人じゃあ眠れないし。
俺も、寝る時は
…翔ちゃんのおしゃぶりがいるもん。」



なんて、決定的な台詞を口にしたのにキョトンって顔して全裸で立ち尽くす。
とぼけた様子の翔ちゃんは本気でかわいい


2回のウィンクでやっと気がついたみたい。
翔ちゃんにしては余裕の無いキス、それがまた嬉しくて、だって余裕が無くなるくらいの翔ちゃんにしてるのは俺なんだもん。


鼻息荒くダッシュして、
マッハで戻ってくるって言ってくれるから今日は、いつも以上にいっぱいご褒美あげたいな。


海くんのちょっと借りちゃうね

俺も翔ちゃんとおんなじ産まれたままの姿になって
指先にはベビーオイルをトロリとおとす。


んっ……ぅ……は…ぁあ

たしか文学作品にあったよね
注文の多い料理店
あれとはだいぶ違うけど愛する旦那様に、美味しく召し上がってもらうための下ごしらえの準備は万端にしとかないと。

ドタバタ聞こえてきた翔ちゃんの足音
びっくりしてくれると嬉しいな。

…翔、キスしないの?

えっ…と…あ、いや、…ん。


翔ちゃん…名前で呼んで

かず…和也…


余所見しちゃやだ
俺だけ見て
翔ちゃん、俺しか映さないて



驚きを隠せない瞳は大きく見開かられてて、
翔ちゃんのこんなおまぬけなさんな顔が見れるならたまには積極的になるのもアリかもなんて思ったりする。

上擦った声で名前を呼ばれたりすると
俺だって興奮しちゃうよ。


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