
ビタミン剤
第16章 千夜一夜物語
予約してたケーキの店
最後に小さなサプライズのつもりで渡したら
でっか過ぎるミラクルな箱が開いたみたいだ。
相葉くんからの告白…ってか
俺、男なんだけど
想定外どころか、俺の理解できる範疇をかるーくぶっ超えてやがる。
「えへへ、ごめんね。来週、海外ロケなんだ
大丈夫、ちゃんとこの翔ちゃんへの片想いの気持ちは海か砂漠にでも捨ててくるから
だから帰ってきたら新生相葉雅紀として
また新たな気持ちでヨロシクでーす!
なんつってね、アハ。
ホントヘンな事言ってごめんね、翔ちゃん。」
いつもと同じ様に振る舞ってるつもりみたいだけど、引き攣ったムリして見せる笑顔はひどく歪んでて声だけのムリした笑い声をあげてみせるけど
頬をつたう雫はとまらないまま。
強がりで笑ってみせて
ロケ先で俺への片想いを捨ててくるって
俺には何も求めず
打ち明けただけで、玉砕を選ぶ恋
いったいなんなんだよそりゃ?!
どうしたらいい?
なにを言ってやれば…
結局うまくは言葉にしてやれなくてそうしてる間に
相葉くんちのマンション前に着いた。
濡れた目元を擦って
翔ちゃん今日はありがとねって
破顔する相葉くんの、そのやわらかで儚い微笑みは
蕾みだった花がほころんで花開いたのに
直ぐに萎れてしまったかのように思えた。
