ビタミン剤
第16章 千夜一夜物語
Aside
あっちぃぃいいい
砂漠の国の朝晩の寒暖差はかなりすごくて
翔ちゃんにも教えてもらってたけど、体力的にもけっこうキツイ。
あんまり食欲は無いけど、バテないようには食べて飲んでるつもり。
部屋へ戻ったらお酒を飲まなくても
ばたんきゅーって眠り込んでたりするし。
これだけ暑過ぎると
余計なこととか、なぁんにも考えれないから
今の俺にはちょうどいいかもしれない。
あの日はとにかく楽しい1日だった。
翔ちゃんも俺と一緒にたくさん笑ってくれてて
すっごくすてきな笑顔もたくさん見れたのに。
別れ際のみっともない自分
せっかくの楽しい1日を台無しにしちゃった
今着てる衣装の下のTシャツは翔ちゃんが選んでくれたもの。
「ごめんね翔ちゃん……やっぱり大好き…」
熱砂の風が吹きつけて、細く囁いた俺のひとり言を攫っててくれる。
砂嵐がこの感情を地中深くに埋めてくれますように
どうか、この灼熱の砂漠で
すこしでもはやくこの想いが乾涸びてこなごなに砕けてしまいますように。
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