ビタミン剤
第25章 a mole tunnel
Sside
助手席に放り投げたリモコン。
携帯を取り出して、
来週の潤のスケジュールの確認をする。
窓ガラス越しにちらちら見える姿は
こっちを気にしてるようにも見えるが
完全無視、放置しておく。
最近頻繁に飲み歩く潤のほうが
気掛かりで、俺にとっては心配の種だ。
顔色も良くなくて、肌つやも失われてる
ムチャな飲み方とかもするんだろう、
メンバーが一緒ならそんな真似はさせないし
誰かが止めに入るが
親しくしてる潤の連れや俳優仲間連中は
業界の中でもけっこう派手に遊びまわる輩の
グループだから。
まだ、
潤の隣に寄り添ってやれないことへの
歯痒さを覚える
あれこれ考えてると
斗真が頼りない足取りでこっちへ
向かってくるのが見えた。
そこでリモコンの存在を思い出して
ボタンを最強まで回してやる。
俺の憂さ晴らし相手にちょうどいい具合の
かわいいヤツ。
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