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ビタミン剤

第25章 a mole tunnel



Tside

工業地帯の暗がり
停車させた車内の後部座席で
攻められて喘がされて狂ったように
感じさせられた。

胸元に、わき腹に、腋の下、背中に
下半身には両脚の付け根に
翔くんが残してくれた痕が火照ってる。

尻の窄まりの奥の奥には

下着に沁みをつくるほど
中に翔くんの情熱的な迸りが注がれてた。


衣服にも髪にも翔くんがくゆらせる
タバコの残臭がしっかりと残っている筈。
心地よい気怠さの残る身体のまま寄りかかるように
して、吐息まじりに訊ねてみた。


「ねえ、なんで
たまに違う銘柄を買うの?」



処世術だよ
ちょっとした心掛けってやつ
おまえに教えといてやるよ
ニヒルな笑みで話し出してくれる



「おまえは今夜打ち合わせだったろ?
あの番組のNプロデューサーは
この銘柄を気に入って吸ってんだよ。
だから、おまえにも匂いが
うつってなきゃおかしく思われるだろ?」

番組によっても局によっても
一緒に仕事をするスタッフなんかの
趣味、嗜好、考え方などを少しでも多く
把握してたら、
なにかのときに便利に立ち回れるんだと
さらりとおしえくれた翔くん。




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