
ビタミン剤
第25章 a mole tunnel
「わかってるな?
深酒はさせるなよ、ちゃんと自宅まで
送り届けるだぞ。
ヤバいクスリとかには手を出させるな
絶対に近づけんな
万が一危ない時は連絡してこい。」
車が店付近に到着する
潤についたよと連絡をいれた。
目の前にいる俺のことなんて素通りして
翔くんは、いつも潤のことを1番に考えてて
なにより大切に思ってる。
潤も気付いてない、知らない部分で
そっと手を回して危険から遠ざけたり
細部まで見守っているんだ。
こんな風に愛されてる潤が羨ましくて
それに気付こうともしない
鈍感なところが、愚かで可愛くて…
ひどく憎くらしい。
気の置けない大切な親友
滑稽なモグラはどんなに地表に憧れてみても
そこに生きれる居場所なんてない
この道化役を生涯かけて演じきってみせる
翔くんから受け取れる報酬こそが
モグラの俺がこの世界で生きてく糧になるから
「翔くん…
そろそろ潤が来るよ、離れないと…」
さっき車内で翔くんと獣のように貫かれ
激しく交配した後、
衣服も整えない裸の最中に
今からそっちに向かえるよとLINEをすると
二軒目の店に移動したからと返信が来た。
聞き覚えない店の名前と住所
近くに着いたら向かえに行くからねと
潤がかわいいスタンプで返信をくれた。
