
ビタミン剤
第30章 ムテキのヒーロー
「や、ぁん、ダメッ智くん抜いちゃやだっ!
1人にしないで…お願いっ
智くんが1番気持ちよくなる瞬間を感じたい
俺の中で…感じさせて」
「痛くないの、怖くない?
ちゃんと翔ちゃんも感じてる?
俺ばっかり気持ちよくなってない?」
弱々しく首をふって
ふわりと微笑んでキスをねだってきた。
「翔ちゃん、一緒にいこう」
「智くん…ぁ…一緒に…」
痛みも、苦しみも、
悲しみや、恐怖だって
翔ちゃんを脅かすものはおいらかぜんぶ
取り去ってやる
それでも、背負わなきゃならない
ものがあるなら
おいらが一緒に分かち合ってあげるよ
最高に幸せでめちゃめちゃ気持ちいい
この瞬間を翔ちゃんの中で感じてるよ
翔ちゃん中にぜんぶ注いであげる
だから、おいらも翔ちゃんのぜんぶをもらうね
2人で同時に弾けた瞬間
おいらの背中に走ったひりつく痛み
短く切り揃えてる翔ちゃんの爪が
2人が初めて結ばれた愛し合う痕跡を
鋭く走る稲妻のように
おいらの背中に刻み付けてくれた。
