
ビタミン剤
第5章 夏まつり
「えっと、あれ?
りなちゃんそんなヤツ持ってたっけ?」
「……えっと、舞ちゃんが…
着物着たらなるべく下着の、ラインを
出さないほうが良いからって
何枚か買ってきてくれたら
その…中から選んで…」
「はい?もしかしたら、えっと
まさか、女性モノ??」
「…………バカ
絶対ショウに見せたりしないし
あーあ。花火見たかったのになぁ。」
足をぷらぷらと揺らしてる
りなちゃん。
下駄の片方が飛んでいっちゃったから
それを拾って膝まづいて履かせてあげる。
ものすごく気になる浴衣の中の
下着のことは今は忘れることにして
顔を見上げながらおもいっきり
笑顔をつくってみせた。
「りなちゃん花火見に行こっか。
あっちの会場じゃなくて
2人で見れるとこ行こ。」
「ホントに、いいの?」
手を差し出したら
ゆっくりと手をつないでくる
りなちゃん。
2人並んで神社への石造り階段を
登っていく。
長い階段で両側には桜の木が植え
られてて、たぶん春の季節に
お花見に来たらきれいなんだろうな。
大きく育った桜の木がトンネル
状態になってて枝葉を伸ばしている。
夜店のところより提灯が少なくて
足もとに気をつけながら
ようやく登ったら、石造りの鳥居
があった。
神社の境内も桜の木がたくさん
あるみたいだ。
