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ビタミン剤

第5章 夏まつり



「ショウ、すっごい汗だよ。」


りなちゃんがハンカチを
取り出して額をふいてくれる。


「ありがと、りなちゃん。
けっこうな階段登ったからここからなら
花火見えると思うけど。」


神社の裏手にはハイキングコースに続く
山道の入り口もあるようで
さすがにこんな時間には人はいない。


ドーンドーンと
花火大会が始まる音がした。
俺たちは花火が見える位置を
手を繋ぎながら探した。

「お、ここからなら
ちょっと桜が邪魔するけど見えるよ。
りなちゃんほらほら。」


「うん。」


「夜空いっぱいには見えないけと
小さめな花火は見えるから
今夜はこれで我慢してね。
また、今度キレイに見れる
花火大会の場所とか探しとくから。」


「ショウちゃん、ありがとね。
ショウちゃんだいすきだよ。」


りなちゃんのつないだ手が離れて、
俺の手首を掴んで腰から結んでる
帯の下お尻の膨らみ部分まで
誘導してくれる。


「り、りなちゃん?」


「ねえ、翔名前で呼んで。
ちゃんといつもの俺の名前で
それから、確かめてみて
どんなの履いてるか
ずっと我慢してるでしょ?」

「ぅ…かず、触ってもいいの?」


「翔ちゃんだいすきだよ。
いっつもなんてヤダって言っても
すぐに触ってくるくせに。」


横にいたニノがするりと俺の
正面に来るから、ニノと
向かい合って見つめ合う格好になった。
潤んだ瞳を閉じ小さめのくちびるを
少しだけ尖らせて待っててくれてる。



妹よ、
お前は最高の仕事してくれた。

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