テキストサイズ

ビタミン剤

第5章 夏まつり



帰りの車の中で眠ってもいいよって
ニノに伝えてエンジンをスタートさせた。

そしたらニノが改まって御礼を言って
くるからどうしたのってたずねると

「翔ちゃん、
俺が前に言ったなんにも
誰も気にしないで手をつないで
歩けたらいいのにねって言葉を
ずっと気にしててくれたんでしょ?」

「あっ、うん…まあね。」

「舞ちゃんがね、着付けてくれてる
ときにいろいろ話ししてくれたよ。
お兄ちゃん
めっちゃ考えて悩んでたよって。
今回の罰ゲームのことも
お兄ちゃん、ニノくんと2人で
手をつないで歩けるようにって
めっちゃ考えてたよって。
しかも、
ニノくんには気負わせたくないし
悩ませたくないからってね
だから罰ゲームみたいにしたって
言ってたんだ。」


「マジかよ、あいつ…。」



「お兄ちゃんヘンテコなとこあるし
理屈っぽくて、あんなヤツだけど
ニノくんのことは誰よりも大切に
したいって思ってるからね。
お兄ちゃんのこと
どうか末長くよろしくねって。
ナイショだよって教えくれたんだ。

俺、びっくりした。
っていうか、翔ちゃんのこと
また好きになっちゃった。
だから、
せっかく翔ちゃんが俺の為に
いろいろ考えてくれたんなら
俺も頑張らなきゃって思ったんだ。
あんな下着も履いてみたりして
恥ずかしかったけど
翔ちゃんと手をつないだり、
腕組んだりできて普通に歩けたんだもん。
すっごくすっごく嬉しいって思った。
翔ちゃんはいっつも周りを
俺のことを優先して考えてくれる、
しかも押し付けがましさなんて
まるでわかんないように
自然にしてくれるから
わがままで甘えてばっかで
素直じゃなくてごめんね。」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ