
ビタミン剤
第5章 夏まつり
「じゃあかずは、
今夜の大胆なエッチは俺の為に
しようって思ってあんなに頑張って
くれたの?」
「あれは、だから、
あれは…翔ちゃんのことが
好きで、好きで翔ちゃんが…
今すぐに、欲しくなったから。」
着火されたみたいに首もとから
耳から朱色の鮮やかな花が咲くニノ。
俺はニノの手を握ってあげて
ありがとうって伝えた。
「ねえ、かず。前にハワイで
松潤が言ってたよね。
俺らはさ、まだ嵐の旅の途中だって。
まだまだこの先の嵐の長い旅は
続いていくでしょ。
でも、いつも
何時迄も俺の戻るところはかずと
暮らすあの部屋で、
ずっとずっとこれからも
かずの隣が俺の帰る場所だから
この手は絶対に離さない。」
「翔ちゃん。
俺も翔ちゃんの隣にずっとずっと
居るからね。
ずっとへばりついてってやる。」
視線を交わして2人で微笑み合う。
「デビュー前のあの時
俺ら2人でさ、辞めようかって
散々迷って悩んで社長んちまで
行ったけど、結局は
この道を歩いてくって選んだよね。
初めてのコンサートでさ
俺、かずの手を握り締めてた
その時、心の中で誓ったんだ。
こいつの
かずの人生を決めたのは
もしかしたら俺かもしれない。
だからなにがあってもこの先
この手は離さないし
つよく握りしめて、
ぐいぐい引っ張って
俺ら絶対に高みへ登りつめてやる
そう決めたんだ。」
