
ビタミン剤
第37章 サンクチュアリィ
俺が自分自身に戻れる場所
独りきりになって自分を見つめ直せる場所
握った手から伝わる翔のぬくもり
木立ちを歩き続けてるとやわらかな水音が聞こえる。
「…川?」
「もう、すぐそこだから、がんばれ」
目の前にあらわれたせせらぎ、その上流を
さかのぼって歩いていくと
空がひらけた空間に出てきてそこには
小さな滝がある河原のような場所へ到着した。
「…ここ?」
「そう、ここだよ。
俺の山籠りする場所のひとつな。
ここは私有地だし、誰かに会うこともないし。
まるっきり1人になれる場所。
テント張って寝泊まりとかもしてたよ。」
この川の上流には民家も無くて水はこのまま
掬って飲める
手っ取り早く早く自分探しをしたい時や長めの休暇
がもらえない時には、以前の所有者に頼んで
よくこの場所に来させてもらってた。
「ひゃぁ冷たっ…飲める?」
滝つぼのほうに近づいて無邪気に手で水を掬う翔。
「ああ。飲めるよ」
両手で水を掬って俺に差し出してきた。
ゆっくりと頭を下げて水滴が滴り落ちる
そこへ口付けるようにして吸い込んだ。
翔の両腕を掴んでくちびるを重ねて
たった今口へと含んだ水を流し込んでやる。
口端を伝って流れ落ちる雫を舐めとり
もう一度くちびるにふれると、翔の冷えた
舌が絡まってきた。
「…ん…ふ…ぅん…はぁ…ぁ…」
