
ビタミン剤
第7章 人魚のナミダ
「なんか、なんかさ
噛み付いてばっかの自分が馬鹿みたいに
虚しく思えてきてた。
翔さんばっかひとりで大人に
なってることがなんか、無性に腹立って
イライラしてきてたよ。
それに…。」
「それに?なによ。
はっきり言いなよ。 」
「それに、あの人……
かわいいかわいいって言い過ぎる。」
「はあぁ?なにそれ。
ここで、まさかノロケちゃう?」
「馬鹿っ違うから!
俺は男だし、
男らしさとか、かっこいいを
追求したいって思ってるから。」
「だから?
かわいいってダメなわけ?
俺なんてさ
毎日マーくんから言われてるよ。」
「ニノは、そりゃあニノは
かわいいが…似合ってる。
けど、俺は…。」
「ウフフ、それってジェイの
欲張りなんじゃないの。
かっこいいもかわいいも両方を
認めてほしいんでしょ。
かわいいだけじゃないんだって。
男らしいしも、かっこいいも 、
ちゃんと見て理解してくれって。」
「はあぁ?違っ、そんなんじゃない。
絶対違う。」
