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ビタミン剤

第7章 人魚のナミダ




「ウフフ、ジェイはさ
さっさと大人の階段駆け上がって
ひとりで登っていっちゃう
翔ちゃんが許せなかったんじゃないの。
まあ、若い頃に比べたら翔ちゃんの
あの激変はねぇ、
ピアス、へそピにカラコン、金髪って
見てくれも中身も
かなりのチャラ男だったもんね。
けど、元々おぼっちゃまだし
根は真面目で努力家で忍耐強いし。
だから、真面目でガチガチに硬い
ジェイとずっと付き合ってられんの。
あの人もさ
翔ちゃんも基本は真面目だけど
硬さはなくて、ソフトだからね。
ジェイの硬さをうまく包んでくれてたじゃん。」


「うるせぇ、さっきから
どうせ俺はクソ真面目で面白味もなくて
頑固で融通も利かない面倒な性格だよ。」


「わかってんならさ、
ささっさと謝るか、嫌なら次の
恋の相手でも見つけちゃいなよ。
ジェイなら男でも、女でも
引く手数多で付き合えるじゃん。」


「…やってみたけど、
ぜんぜんうまくいかない…。」


「どっち?男、女?」


「どっちも…ダメだった。」


「なにが?
うまくいかないのさ、ダメだったとか
ジェイが勝手に思ってるだけ
じゃないの?」



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