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えっちの経験値

第44章 一之瀬蓮の事情⑬

昨夜、百合を叱咤していた孝之は
俺が知っている孝之からは程遠かった。

孝之自身も辛く苦しく悲しくて
あえて百合を突き放す真似をしたのだと
思いたい。

取り残された百合はどうなって
しまうのだろうか。

やつれきった百合が現れた。

そこにはもう昔の華やかさなど無かった。

「蓮くん……来てくれたんだ。ありがとね。
でも、これから家裁に行かなきゃいけないの」
「携帯貸してください」
「え?」

百合からスマホを受け取ると
俺の番号を打ち込みワンコールした。

「俺を頼ってください。じゃ、また」

俺に出来ることなんてたかが知れてるが
百合をこのまま放ってはおけない。

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