きみがすき
第11章 *ジュウ*
「大ちゃんまで…」とかぶぅぶぅ何かを言いながら奥へ入っていく相葉さんを尻目に、俺と大野さんの前には潤くんが作ってくれた美味しそうな料理。
見た目はクリスマスをイメージしていて、実際の味も『美味しい!』と思わず言ってしまう程。
もともと食に興味がない俺が食べても良いのかなって思っちゃうけど、潤くんからの『一番に食べて欲しい』って言葉は、素直に嬉しい。こんな俺でも少しでも役に立てたらなって思うんだ。
そして意外だったのが大野さん。
ちゃんとまともに感想を言うの。ソースがどうのこうのとか…
潤くんも潤くんで、どこか嬉しそうにやり取りをしている。
**
潤くんと相葉さんは、“おしゃれだけど敷居の高くない店”をコンセプトに内装やメニュー、そして値段を考えてるって前に聞いたことがある。
もちろん安かろう悪かろうなんてのは2人のポリシーに反するから、良い食材を少しでも良心的に仕入れられるようにと、潤くんが何度も相手方に足を運んで交渉したり、こまめに挨拶や御礼状なんかも真心を込めて送ったりしている。今回の料理もそうとう試行錯誤を重ねたんだろうな。凄く熱い男なのよ。
そんで、そんな潤くんが活動的に動けるようにサポートしているのが相葉さん。普段はふざけているように見えがちだけど、良く回りを見てるなぁって感心する。本人には言ってやんないけどさ。
俺はね、2人の仕事に関しては、手も口も出さないようにしてる。だってお門違いじゃん?正直わからないし。もちろん今日みたいに頼られたら出来るだけのことはしたいと思うけどね。