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きみがすき

第11章 *ジュウ*

*大野*



急に試食なんて言われたから、俺じゃまともに感想も言えないし断ろうと思った。いや、断ろうと思えばいくらでも断れたよな。なんでかちゃんと断れなくて、受けたからにはと、感じたままを伝えさせてもらった。

「こっちこそ美味しい料理食べさせてもらったし、ほんとにごちそうさまでした。」

『とんでもない』と笑ってくれている松潤にホッとする。


松「あ、雅紀、時間大丈夫か?」

相「…え?…うわ!もうこんな時間!
やばい!」

松「ったく、お前時々抜けるよな。
俺が片付けはしておくから、行ってこい。」

二「え?なに?相葉さんデート?」


…デート。

相「え?…や、なんつーか、そうなのかなぁ?」


二「なんで歯切れが悪いんだよ(笑)」


…ふぅん。相葉ちゃん彼女要るんだ。
まぁこんだけかっこよけりゃモテるだろうな。
独り身は俺だけか…別に良いけど。

と思う半面、急に胸に入り込んできたモヤモヤとした気持ちの原因を探す。

なんだろ?


…あー…。

相葉ちゃんとあんまり話せなかったからかな。
でもまぁ仕方ないよね。
また今度会ったとき……



………今度っていつだろう。

だってもうマフラーも返しちゃったし。

普通にご飯食べに来れば良い話だけど、働いてたら邪魔だし話なんてちゃんとできない。


相「んじゃ!ニノ、大ちゃん、今日はほんとにありがとね!
潤、後片付けごめんね!ありがとう!」

そうこうしているうちに、あっという間に帰る準備の終えた相葉ちゃんに再度お礼を言われる。

松「いいって!早く行ってやれよ。」

二「はーい。気をつけてね。
お幸せにー。」


…誰か引き留めてくれないかな。
なぜだかそんな事を思ってしまった俺の耳に、誰かの声が聞こえた。










「行かないでよ」と。

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