きみがすき
第13章 *ジュウニ*
相「大ちゃん全然気がつかないんだもん。」
さっきの不安そうな顔はすっかりいなくて、楽しそうに笑ってる。
考えごとしてたからな。
相葉ちゃんのことだけど。
あ、じゃぁ すきって気づいてから初めて会うな。
…なんだか緊張してきたぞ。
勢いに任せて抱きついてた自分を思い出し、急に恥ずかしくなる。
相「今帰り?」
「あ、うん。そう今帰り……あ!電車!!」
乗り遅れる!
慌てて落としたバッグを拾おうとした。
けど、バッグを拾うことができなくて、
それは相葉ちゃんに手を掴まれたから。
突然のことで、固まった俺。
そこに
相「送ってくよ。」
と相葉ちゃんの優しい声。
でもそれよりも気になったのは、相葉ちゃんの手。
すごく冷たい。
改めてみたら、相葉ちゃんの首には何もなくて
「ごめんね。マフラー返すよ。」
俺がまた借りちゃったからだ。とマフラーを外そうとしたけど
相葉ちゃんは俺の手を離してくれない。
見上げた顔は、月の光で影になって表情はわからない…
でも、なんでかな、なんだか寂しそう。
「…寒いでしょ?」
相「……寒い。」
「じゃぁ マフラー…」
相「だから、
あっためてよ。」
そうぽつりと呟いて、
その冷たい手で、俺の手をぎゅっと握りなおした。