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きみがすき

第14章 *ジュウサン*





相葉ちゃんの体調を案じながらも、俺の脚はのろのろと階段を昇る。

ニノから送られてきたメールの内容はもう暗記してしまった。


それでも気が乗らないのは
もし、もしも俺が逆の立場なら
さして仲良くなってない他人が、ましてや弱ってるときに訪問してくるなんて嫌だと思ったからだ。


ゆっくりと歩いても目的地には着くもんで、
目の前には、このご時世にちゃんと『相葉』と表札を掲げているドア。

俺の左手には来る途中のコンビニで買った、スポーツドリンクとゼリー。
倒れてたら大変だからと理由を付け、コンビニの袋をぎゅっと握り直し、インターホンに指をかけた。


「大ちゃん?」


思いもしなかった後方からの声に、インターホンに当てていた指を離す。

ごほっごほっ。と咳のする方を振り返ると、そこに居たのは、
ダウンコートにマフラー、顔にはマスクにニット帽姿の相葉ちゃん。らしき人。


相「なんで、ここにいるの?」


咳の合間に出す声は、がらがらと相葉ちゃん声とは違う。けど、しんどそうに俺を見る目はやっぱり相葉ちゃんで。


「あ、えと…」
まさか家の中に居ると思ってた人の出現に、焦りつつも
「…ニノに頼まれて、そう、相葉ちゃんが具合悪いから様子をって。」


相「…そうなんだ…わざわざ、ありがとう。
でも、俺は大丈夫だから。」


そう言って、相葉ちゃんは俺の横を通り抜けて鍵穴に鍵を差し込んだ。

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