きみがすき
第14章 *ジュウサン*
そりゃそうだ。
と思う反面
『大丈夫だから』と冷たく返された言葉にショックを受けた。
きっと何処かで、俺に頼ってくれるかも。なんて思っていたんだ。
自惚れもいいとこ、すげー恥ずかしい。
そんなことを考えているうちに、相葉ちゃんは振り返ることもせずに、ドアの内側へと消えていく。
ゆっくりとドアが閉まる寸前
カシャン。と鍵らしきものが落ちる音と一緒に、膝から崩れるように、ドサリと相葉ちゃんの身体が倒れる姿が見えた。
反射的に、後少しで閉まろうとするドアの縁を掴んだ。
「相葉ちゃん!大丈夫!?」
玄関で倒れた相葉ちゃんの肩を掴み顔を除き込む。
マスク越しでもわかる、苦しそうな呼吸音。
相「だ、大丈夫…」
「大丈夫じゃないじゃん!」
相「ちょっとよろけただけだから、も、帰って。」
「でも!」
相「ほんと大丈夫だから…、マジで帰って…」
弱々しく途切れ途切れに話すのに、その言葉は強さを持っていた。
強い拒絶に、心臓がぎゅっとなり、目の奥がツンとする。
俺、迷惑?
つい、そんな言葉が出そうになった。
でも、
そんな俺の耳に聞こえてきたのは、相葉ちゃんの優しさの詰まった言葉だった。
相「…大ちゃんに、うつしたくない…から…」と。
……なんだよ
もう…
「相葉ちゃんの風邪なら、たとえ貰ったとしても、嬉しいよ。
だから…、側に居させて?…お願い。」
後で思い返したら恥ずかしくて死んじゃうようなセリフ。
相「……
…ちょー寒ぃの。
だから…あっためて。」
そう弱々しく呟いて、マスクの下で笑ったような気がした。