きみがすき
第14章 *ジュウサン*
「ふぅ…」
俺の前には、ベッドでくぅくぅとぐっすり眠っている相葉ちゃん。
寝てる顔は緩みきっていて、幼く見える。
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『ちょー寒ぃの。だから、あっためて。』
そう話して相葉ちゃんは目を閉じた。
良く見ると、相葉ちゃんの手はカタカタと震えていて、これから熱が上がることを知らせている。
体を支えてなんとか寝室に運ぶが、
その間にも全身はガタガタ震え、歯と歯がカチカチと当たる音がする。
ベッドに寝かせる時に上着を脱がせると、ポケットからドラッグストアの袋が落ちた。
風邪薬…これを買いに外に行ってたのか。
震える体に布団を掛け、電気毛布のスイッチを入れ、部屋の暖房を付ける。
勝手に部屋の中いじってるけど、今はそんなこと言ってる場合じゃないよね。
できる限りの暖を与えたところで、薬の用法用量を確認する。
『風邪の引きはじめのゾクゾクに…』
て、今じゃん!
キッチン借りるね。と声はかけ、急いでコップに水を汲んで寝室へ戻る。
熱が上がってきたのか震えは落ち着いてきている。
「薬、飲めそう?」
俺の問に、うっすらと目を開けて頷いた。
のそりと起き上がるのを手伝い、後ろから抱えるように背中を支える。
コクン。と薬を胃に流し込む音。
本当は病院行った方が良いんだろうけど、薬、効いてくれると良いな。
ふと、ゆっくりと俺を見上げる瞳と目が合った。
その瞳は体調が悪いせいか、水分が多く、気だるそうに開く血色の悪い唇は、先程の水で艶かしく濡れている。
…う、わ……
途端に今の状況を客観的に見てしまった俺の心臓は騒ぎだす。
落ち着け心臓!
相「……がとう」
「へ?…え?」
相「ありがとう。」
そう言って、辛そうにではあるが目尻に皺を作りながら笑う。
俺はというと、
「あ…うん。」
となんとも微妙な返事しかできず、見つめられたままだと、相葉ちゃんに何かしてしまいそうで慌てて目を反らした。