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きみがすき

第14章 *ジュウサン*



「ふぅ…」


俺の前には、ベッドでくぅくぅとぐっすり眠っている相葉ちゃん。

寝てる顔は緩みきっていて、幼く見える。


**

『ちょー寒ぃの。だから、あっためて。』

そう話して相葉ちゃんは目を閉じた。
良く見ると、相葉ちゃんの手はカタカタと震えていて、これから熱が上がることを知らせている。


体を支えてなんとか寝室に運ぶが、
その間にも全身はガタガタ震え、歯と歯がカチカチと当たる音がする。

ベッドに寝かせる時に上着を脱がせると、ポケットからドラッグストアの袋が落ちた。

風邪薬…これを買いに外に行ってたのか。

震える体に布団を掛け、電気毛布のスイッチを入れ、部屋の暖房を付ける。
勝手に部屋の中いじってるけど、今はそんなこと言ってる場合じゃないよね。

できる限りの暖を与えたところで、薬の用法用量を確認する。

『風邪の引きはじめのゾクゾクに…』

て、今じゃん!

キッチン借りるね。と声はかけ、急いでコップに水を汲んで寝室へ戻る。

熱が上がってきたのか震えは落ち着いてきている。

「薬、飲めそう?」

俺の問に、うっすらと目を開けて頷いた。
のそりと起き上がるのを手伝い、後ろから抱えるように背中を支える。

コクン。と薬を胃に流し込む音。

本当は病院行った方が良いんだろうけど、薬、効いてくれると良いな。

ふと、ゆっくりと俺を見上げる瞳と目が合った。

その瞳は体調が悪いせいか、水分が多く、気だるそうに開く血色の悪い唇は、先程の水で艶かしく濡れている。


…う、わ……

途端に今の状況を客観的に見てしまった俺の心臓は騒ぎだす。

落ち着け心臓!

相「……がとう」


「へ?…え?」


相「ありがとう。」
そう言って、辛そうにではあるが目尻に皺を作りながら笑う。

俺はというと、
「あ…うん。」
となんとも微妙な返事しかできず、見つめられたままだと、相葉ちゃんに何かしてしまいそうで慌てて目を反らした。

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