きみがすき
第14章 *ジュウサン*
「水、もう少し飲む?」
相葉ちゃんは体調が悪いの!と脳内で自分にビンタをし、気持ちを切り替える。
相「も、い…」
ほんとは水分とった方が良いんだろうけど、飲みたくないのに無理には飲ませられない。
そう。と答え、サイドテーブルにコップを置いて、離れようとした。
だけど、
相「…さむ…」
そう言って相葉ちゃんが、俺の服を掴んでくるもんだから、離れることができなかった。
「へ?!え?!あ、あ、相葉ちゃん!?」
さっきせっかく落ち着かせた心臓がまた騒ぎだす。
と、
相「あったかぁ…」
今度はむにゃむにゃと俺に抱きついてきた。
あ、あったかい?
……もしかして、ただ湯タンポに抱きついてる的な…?
案の定、当の本人は、また「あったかぁ」と言いながら、おでこを俺の胸にスリスリ…。
完璧に湯タンポじゃん。
ドキドキしたじゃん!と心の中で愚痴ってみる。
離れようと試みたけど、しっかりと俺を掴んで離さない。
寝惚けてる割には強情だ。
はぁ…
…もう、いっか。
諦めた俺はゆっくりとベッドに体を預け、相葉ちゃんが寒くないように、抱き付かれたまま布団の中に入った。
まぁしっかり沢山寝た俺は眠くない訳で、
…自分よりでかい人に抱き締められるの初めてだなぁ。
なんて考えちゃうのは仕方ないことで。
相葉ちゃんの顔がちょうど俺の胸の辺りにあるから、立ってれば見下ろすようなアングル。
いつも相葉ちゃんと居るときは見上げる側だったから、新鮮だ。
改めて見ても、整った顔してるよね。顔ちーさいし。
明るいし優しいし…すかれる人なんだろうな…。
『要は、すきになってもらえば良い話しでしょ。』
以前ニノに言った言葉。
笑っちゃうよね。…あんなの只の強がり。
すきになってもらうにはどうしたら良いの?ましてや相手は男の相葉ちゃん。俺のこと友達としてしか見てない、あれ?友達なのかも…微妙。
…
抱き締めてもらえるなんて最後かもしれない。
寝息が届く距離にある顔。
目尻に皺ができる、こっちまで嬉しくなっちゃうあの笑顔がすき。
早く良くなりますように。と、
すきだよ。という気持ちを込めて、
少しだけ強く、その暖かくなった体を抱き締めた。