きみがすき
第2章 *イチ*
あのあと、俺と大野さんは職場に帰り、打ち合わせの結果を、課長へ報告した。
大野さんと打ち合わせ内容を再確認し、次回までに何が必要か、関係機関はどこをリストアップするか案を練る。
取り合えず目処が付いた時には、良い時間になっていた。
大「ここまでかな。目処もついたし。」
「そうですね。そろそろ会社出ないと、櫻井さんと約束した時間に間に合いませんしね。」
大「え?マジ?!もうそんな時間?!」
遅刻したら翔くんに殺されちゃうなー。
と、恐ろしい言葉とは裏腹に、へらっと嬉しそうに笑った。
なんかあれだよね。全身からウキウキなオーラが溢れちゃって。こんな大野さん見たことない。
大学時代からの友達に勝てるとは思ってないけど、なんか面白くない。
だって確実にここ3年は、俺の方が大野さんといる時間長い自信あるし。
と、一人でちょっとぶぅたれてみる。
大「俺ね。翔くんに、自慢のニノを紹介できるのが、すげー嬉しいの♪」
と、思ってもいなかった言葉が、何の前触れもなく耳に入ってきた。
思わず帰り支度をしていた手が止まる。
『なにそれ、反則でしょ。』
…あー…。今、確実に俺の顔赤いわ。
ホントかなわない。
そんな俺を知ってか知らずか、
ニノ、行くよ!と大野さんは足早にエレベーターへ向かった。