きみがすき
第16章 *ジュウゴ*
仕事を抱え込んだ原因。
「その人の対象は、女ってこと、か。」
大「うん…。」
「でもさ、智くんだって今まで対象は女だったろ?」
俺だって智くん以外の男を良いなんて思ったことない。
「それに…」
大・櫻「「すきになったら関係ない」」
「…んじゃ…ねぇの?」
って、被っちゃったじゃん。
大「ふふ。俺もね、その人をすきだって気が付いたとき、驚くくらいすんなり受け入れられたの。
だからね、その人に、俺をすきになってもらえば良いんだって思った。」
大「でもね、その人に気持ちを伝えて…返事を貰った時、俺ね、わかっちゃったんだ。
その人にとって、俺はたとえ女だったとしても恋愛の対象にはならないんだって。」
「…そう、言われたわけじゃないんだろ?」
大「うん。でも何となく、感じた。」
何となくって…
「それで、諦めたの?」
大「…」
「言い方を変える。その人のこと、諦めきれるの?」
智くんが持っていた箸がカチッと鳴る。
まぁ諦めきんねーから、こうなったんでしょ。
「何をもって絶対に相手にされてないって思ったかわからないけどさ、智くんはその人じゃないじゃん。なんで勝手に見切りつけんの?」
「それにだ、智くんの勘は大抵当たらないし、あてにならない。俺が保証する。」
大「そこまで言う?」
「マジな話。智くんって本人以上に人の気持ちなりを察しようとする時あるじゃん。んで、勝手に思い込んで、確認もしないで自己完結したりさ。だから何考えてるかわかんないって言われるんだよ。」
大「…勝手に分析しないでよ。」
「諦めきんなくてモヤモヤ考てるくらいなら、智くんの勘通りなのかなり、振り向かせるなりの努力してみなよ。」
そうだろ?だってさ、智くんとその人はきっと、俺達と違って自由なんだから。
大「…」
「? なんだよ?」
大「や、翔くんが優しいと思って。きっと怒られるんだろうなって思ってたから。」
「いやいやいや!俺ってそんなキャラ?」
大「おこりんぼキャラ(笑)」
じゃぁ貴方は白雪姫か?
「あそ、じゃ…たまには飴あげないとね?(笑)」
大「ふふふ。翔くん。」
「今度はなんだよ?」
大「ありがとう。
翔くん、大すき。」
「…はいはい。俺も智くん大すきだよ。」
そう、俺は大野智にすこぶる甘い。って話。