きみがすき
第16章 *ジュウゴ*
大「そしたらね、相葉ちゃんが抱き締めてきたんだよ?!ぎゅぅって。だから俺てっきり、もしかして相葉ちゃんも俺のことって思っちゃって。ねぇ翔くん聞いてる?」
「あぁ…聞いてるよ。」
大「でさぁ勢いで告白したら『そういう風には見れない』って。もぉ帰りの車内の気まずさったら。俺、人生で一番どうでも良い話いっぱいしちゃったよ~…」
あれから、智くんは吹っ切れたのか、飯も食ったし酒もすすんだ。
そこまでは良かった…そこまでは…
もう4回目だよ…この話。
智くんの思い人である『相葉雅紀』との出会いから、今までに至るまでの経緯を語り始めたのだ。
ご丁寧にフルネーム(漢字付き)も。
んで、ひたすらリピート。
もう俺その場に居たんじゃないかってくらい記憶しましたよ。ええ。
大「でもね。相葉ちゃん、かっこいいんだよぉ。手足なんてこーーんなに長くて、顔はこーーーんなに小さいの。」
こーーんなにと腕を目一杯広げ、こーーーんなにで拳をぎゅっと丸める。
…もはや人ではなくなってるぞ、相葉雅紀。
「あのさ?明日もあるし、そろそろお開きに…」
大「翔くん何言ってるの?明日は土曜日だよ。
でね!相葉ちゃんって笑うと目尻に皺ができてね~…」
オーマイガー
助けてくれ相葉雅紀…
***
大「あーお腹いっぱい。んースッキリしたぁ!」
ぐぅーんと伸びをする智くん。
「あぁだろうね…」
俺が解放されたのは、12時過ぎ…
軽く軟禁じゃねーか!5時間くらい居たぞ?!
もはや店の回転率を下げる嫌な客だ。
大「ねぇねぇ翔くん。」
「…んー?(ぐったり)」
大「満月。かなぁ?」
そう言われて見上げた夜空には、ネオンに負けずに輝く月。
「さぁまだ微妙に歪んでね?」
そう答えて智くんを見ると、なんとも嬉しそうに笑っている。
…ああ、そっか。
夜道を照らすようにね…
1度は会ってみたいな、相葉雅紀と。
大「翔くんはさぁ、お日さまだよね。」
「お日さま?」
何急に。
大「ずっと俺を見守ってくれるでしょ。」
そう言ってへにゃんと笑うもんだから
あーぁ、卑怯だなぁ。そんなこと言われたらさ…
尚更、このポジションは誰にも渡せねーわ。つか渡す気はさらさら無いけど。
「んじゃ俺にとっての太陽は智くんだな。」
そう言えば、貴方はとても嬉しそうに笑うんだ。