きみがすき
第17章 *ジュウロク*
「諦めない。」
松「は?」
松潤の大きな瞳が怪訝そうに歪む。
「俺、相葉ちゃんのこと、諦めたくない。」
松「何言ってんの?」
強くなる口調。
「確かに松潤が言うように、俺は相葉ちゃんのこと諦めようとした。
でも、どんなに忘れようとしても全然忘れられなかった。」
寧ろ強くなる一方だった。
松「…」
「まだ、俺には出来ることがあるんだって気が付くことができたんだ。…だいぶ時間がかかっちゃったけどさ。だから、今度は絶対諦めない。」
そう言いきって、真っ直ぐに松潤を見返す。
松「…」
「…」
沈黙…
を破ったのは松潤。
ふぅと何かを吐き出すように息を出し
松「…あっそう。じゃ、頑張って下さい。」
と素っ気ない口調で話した。
「へ?…え?なに…」
松「なにって?」
「や、なんかもっと反対されると思って…。こう、胸ぐらを掴まれるなり、殴られるなりするんじゃないかと…」
松「ぷっ!なんだよそれ!あはは!
俺、さすがにそんなヤンチャじゃ無いわ。」
ついさっきとは打って変わって、整った顔を崩して笑っている。
???
何がなんだかわかんない…
松「ふふっ…はぁ、笑ったぁ。
さて、と、俺は帰りますね。あ、タクシーは呼んでないんで、雅紀に送ってもらって下さい。」
今にも鼻歌を歌いそうなご機嫌で、椅子から立ち上がる。
「ちょっ、ちょっと松潤!」
思わず腕を掴んだ。
松「わ、何?!」
「何?!じゃないよ。どー言うこと?」
松「どー言うことって、大野さんの気持ちを確認しただけですよ。で、安心したので帰ります。店はもうcloseしてるんで、どうぞごゆっくり。」
これでもかと、営業スマイル。
「へ、あ、そう…ですか…」
やっぱりダメだ、頭がついてけない…
でも、松潤に認めて貰えたってことなの?
松「あー…あと」
荷物を持ちドアノブに手をかけた松潤。
「大野さんの元気が無いとさぁ、かずが「大野さんが、大野さんが」って煩くて、すぅっっげー迷惑なんで、早くどうにかして下さいね。」
そう不満そうな口調の松潤。
ニノ…
ほんとだね
しっかりしなきゃ
「松潤。」
松「なに?」
「ありがとう。」
松「…別に大野さんの為じゃない、雅紀の為だ。
じゃーね。」
そう素っ気なく言って、松潤はドアの向こうへ消えていった。