きみがすき
第17章 *ジュウロク*
相も変わらず薄着。
その胸ぐらを掴み、有無を言わせず引き寄せた。
相葉ちゃんとの初めてのキスは、
到底ロマンチックとは程遠い。
黙れ。と、ぶつけるように塞いだ唇。
ガタンと大袈裟な音をたてて倒れた椅子。
目の前には当たり前だけど相葉ちゃんの顔があって、
焦点が合わない視界でも、その瞳を大きく開き、驚いている事はわかる。
そりゃそうか。
と思う半面
そんなこと知るか。
と、少しだけ強めにその柔らかい下唇を噛んだ。
相「つっ…」
意識が戻ってきたかのようにビクッと動いた体。
突き放される前に唇を離し、でも掴んだ胸ぐらは離さない。
上にある顔を見上げ、しっかりと焦点を合わせた。
相「っ…な、にすんだよ…
また…からかってんの?」
口元を手で抑え、眉間の皺が更に深くなった。
「俺の…、考えてる事が分からないって?」
相「…え?」
「じゃぁ教えてあげる。」
俺の思ってること全部。全部教えてあげる。
「俺が、ニノをすき?翔くんをすき?
あぁそうだね、すきだよ?
でもそこに恋愛感情は無い。過去も現在も。」
相「…え、」
「何を勘違いしてるかわからないけど、ニノは可愛い大切な同僚。翔くんは一番大切な親友だ。それ以上でも、それ以下でもない。」
相「…」
「俺が…すきだって思うのは…あんただけだ。
…俺ね、初めて…初めて人をすきになったんだよ。
一緒に居て楽しくて、ドキドキして、嬉しくて。こんな気持ち初めてで。」
相「…大ちゃん…」
「それが、『遊びの延長』なの?
…っふざけんな!俺が、俺が!どんな思いで気持ち伝えたか…!
俺のこと、何も…知らないで!勝手に俺の気持ち否定するな!」
一番否定して欲しくない人に…
堪えていた感情が、ぽろっと雫となって落ちる。
相「あ…」
「まだわからない?いいよ、わかるまで何度だって言ってやる!
俺は相葉ちゃんがすきなんだよ!
キスだってしたい、抱き締めたい、…それ以上の事だって…!
この気持ちが、恋じゃ無かったらなんなんだよ…
ねぇ!なんなんだよ!!」
もう、きっと顔はぐちゃぐちゃだ。
こんなことになるなんて、つい数分前までは思ってなかった。
相葉ちゃんに振り向いてもらえる様にまた頑張ろうって…そう思ってたのに…
こんなの…最悪だ…