きみがすき
第19章 *ジュウハチ*
今度は、相葉ちゃんの手が意識を持って、俺の手と一緒に下ろされる。
でも、手を離されることはなくて、重ねていた指先を優しく握られた。
相「…なんでさ…振られる前提?」
「え…?」
相「…その言い方だと、…そう聞こえたから…」
え…
…それって…
その言葉に、ドクンと心臓が脈打つ。
でも…
相「俺…」
「っ俺さ!」
相「…」
「…あ、俺…」
この期に及んで、今更何を言おうとしてるのか
「…ごめん、やっぱり…何でもない。」
相「…ねぇ大ちゃん。言いたいことがあったら言って?…聞きたいことがあったら聞いて?
俺、もう待たせたりしないから。」
…そりゃ…聞きたいことはもちろん、返事。
でも、その前に言いたいことは…
「…じゃぁ…言っていい?」
まだ…迷いつつも言葉をつなぐ。
相「うん。」
きゅっと握られたままの指先。
「…俺、これからすごく狡いこと言うかも。それでもいい?」
相「うん。何でも聞くよ。」
すぐに返された返事。
やっぱり返事を聞くのが怖い。
だから…これを伝えるのは今しかない。
そして…そんな俺は狡くて、弱い。
「俺ね。良く『考えてることがわからない人』って言われるんだ。」
相「…俺も言ったよね…あの時はごめん…」
「あ、そう言う意味で言ったんじゃなくて、実際、人に気持ちを伝えるのが苦手だし、別に他人同士なんだから仕方ないじゃんって。でもね、最近はこのままじゃダメだって思って………
あー違くて、えと俺が言いたいことは、これじゃなくて…」
相「?」
「俺って、その他にね、良く人から言われることがあるんだけど…な、なんだと思う?」
相「え?いきなりクイズ?(笑)」
「そう!いきなりクイズ!」
相「…う~ん…。なんだろ?
……あ!怒るとけっこう怖い。だ?」
「…な!あ、あれは…」
きっと相葉ちゃんの胸ぐらを掴んだ時の…
相「あは。うそうそ!…あーでも、うそではないか。なかなかの迫力だった。あれは(笑)」
そう言って、ちょっと意地悪そうに笑う。
「違う!
俺って頑固なの!良く人から『頑固』って言われるの!」
相「頑固?」
ポカンとした相葉ちゃん。
そりゃそんな反応にもなるよね。
いきなりなんの話だって感じだよね。