きみがすき
第20章 *きみがすき*
相「もうすっかり雨やんだねぇ。」
「そーだね。」
相「あ、見て!満月!」
「へぇ。」
相「…ねぇ。まだ怒ってる?」
「怒ってる。」
相「…。」
俺たちは今、外を歩いている。
ま、俺が帰るためなんだけどね。相葉ちゃんが送ってくれるって。
そりゃそれはありがたいんだけど…
でも俺は怒っている。
事件が起こったのは相葉ちゃんちを出るついさっき。
.
そのちょっと前、思い出しただけでも、赤面するようなキスをした。
はぁ…と、お互いに息を吐き、ゆっくりと離れる。
結構な、それなりなキスをしちゃったのにも関わらず、名残惜しいと思った。
自然と視線が合うと、その瞳はすぐに細められ
ぎゅぅ。て効果音が聴こえるんじゃないかってくらい、抱き締めてくれる。
…
なんか…
…すごく…
相「幸せー♪」
なんとも楽しそうな声色と、同じことを思ってた事に、思わず笑っちゃう。
そんな時間もやっぱり当たり前に過ぎていくもんで、お互い明日は仕事だって事だしね。
相「ねぇコンビニ行って良い?」
なんて話しつつ、自然と俺の荷物を持つ相葉ちゃん。
さすがに断ったけど、そんな事がさらっとできるなんて、…そりゃモテるわけだ。なんて関心してしまった。
そして、ふと。なんとなく気になってたこと。
「ねぇ相葉ちゃん?」
相「ん?」
「さっきさ、俺に意地悪したくなるって言ってたでしょ?」
相「んふふ。言ったね。」
「パンかご飯か。のやつは、本当にわざとじゃ無いよね?」
ちょっとふざけて真面目に聞いてみた。
相「………うん。」
…
なんだその間は?
かーらーのー、今の俺。
信じらんない!よくもまぁあんな、きょっとーーん。顔ができたもんだな!
俺は怒っているのだ。
と、
相「…ごめんね。」
急に進行方向に現れた、しょんぼりした顔。
俺は…怒って…
相「本当に、朝まで一緒に居たいって思ったんだ。」
ごめんなさい。と頭を下げる。
おこって…
ひしひし。としょんぼりオーラが漂う俺の回り。
おこ…
…くぅ…
「わかった!許してあげる!
でも!その代わり!次は泊まるからね!だからあの布団もベットも無い部屋、何とかしといてよ!」
…はぁ…
もう…
惚れた弱みってやつなのか…