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きみがすき

第23章 *ぜろ*



俺の想いと、相葉ちゃんの想いが通じ合えたのは、1ヶ月以上前。


平日昼間勤務の俺
常に忙しいわけではないが、残業はほぼ。
休日出勤もある。


そして
夕方から夜中にかけて働いている相葉ちゃん。と言っても準備とか仕込みがあるから早目にお店に行く。
休日も時々、松潤と仕事の打ち合わせをしたり、料理の試作をしたりしてるんだって。



ので、俺たちの予定は合わない。


今日までの間、ニノとお店にご飯を食べに行ったりしたし全く会えなかった訳ではない。


でも、お店だと相葉ちゃんも松潤も働いてるしね。


ニノと松潤もこんな感じだったんだなって。


松潤と会える日のニノを思い出す。
いつも以上に仕事頑張って、そして嬉しそうで。


その気持ち、凄くわかる。


すきなひとに会えるって


すごいね。


それが両想いとなると…もう…ね?


なんでも頑張れちゃうよね。





相「…綺麗。」

頭上に咲き誇る桜を見上げながら呟く。

ロマンチックにライトアップされた桜が
相葉ちゃんの瞳をその色に染める。

「うん。」

思わず見つめてしまった相葉ちゃんから視線を外し
俺も桜を見上げる。

相「ちゃんと桜見に来るの久しぶり。」


「そうなんだ。
俺は会社でお花見やるから、毎年見てるかな。」


相「へぇー!なんか良くテレビとかで取材されるやつでしょ?」


「イメージ(笑)
そうだね。俺は取材されたことないけど。
見かけたことあるよ。」


相「えー!俺絶対見に行っちゃうよー。テレビ映ってみたい!」


「あはは。行きそーだよね。」

そんな他愛もない事を話しながらぷらぷらと歩く。

さすがシーズン。平日と言っても桜を見に来ている人はいっぱいいる。


と、その時だ


ぶわぁっ。と吹いた風が
散り始めの桜を揺らし、
吹雪のように花びらが舞った。

あちこちで上がる歓声

きゃー。と楽しそうな子供の声


「おぉ…」
俺も思わず声が出ちゃった

夜空に淡いピンクの花びら

まるで絵に書いたような光景

すげー…

その場に足を止め
花びらが顔に触れるのも気にせず見いった


と、

きゅっ。と握られた手

ビックリして横を向くと

風に流れる花びらが途切れ
クリアになったその先の貴方は優しく笑っている



狡いなぁ


と思いつつ、その手を握り返した。

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