きみがすき
第24章 *いち*
雅紀が笑ってる。
や、今までも笑ってはいたけどさ。
あの日から…雅紀の時間が止まった。
そりゃ…生きてりゃ歳もとるし、仕事だったり出会いだったりで環境も変わるけど…
なんつーか、心が…雅紀の心が止まってしまっていたように俺は感じてた。
でも…
そんな雅紀がさ
あの人と出会って変わったんだ。
もちろん、良い方にね。
かずに連れられて、ひょっこり現れた大野智さん。不思議な人だと今でも思う。
…初めの印象は…良くはないけどね。
結局は俺の勘違い。だったけど…
かずに抱きついたのは、面白くないわけで。
まぁそん時は、かずと付き合えて無かったけどさ…
あ、で、雅紀と大野さんね。
確か…そうだ。
かずが大野さんに雅紀の見舞を頼んで…
でも、その後も別に雅紀から大野さんの話題が出ることは無かった。あ、お礼に遊びに行く的な話を聞いたくらい。
したらさ、急に雅紀が髪型を変えたんだよ。
他人からしたら、だから?って話だけど、俺とかずにとったら驚き。
ずっとさ、変わってなかったんだよ。そりゃ髪は伸びるし、そしたら切るし、長さは変わるけどさ。基本的な形も色も一緒。ずっとだよ。
驚いたよ。
何の前触れもなく黒髪にして、短くして。
なんで髪型変えた?って聞いたらさ
『え?…なんとなく?』
だってさ(笑)
本人が良くわかってなかった。
あ、服の系統もね。
カジュアル強めだったのから大人っぽく。
髪も服も、今の雅紀にすげー似合ってるよ。
.
相「潤?」
「え?あ、なに?」
相「大丈夫?疲れてる?」
こういう気遣い屋なところは今も昔も変わらない。
「大丈夫。まだまだやれるわ。」
相「マジ?俺、くったくただよー。今日忙しかったし。
でも…お客さん。
来てくれて嬉しいね。」
「だな。ほんと、有り難いな。」
なんて事を話してたら
2人して手が止まってて、気が付いたら窓から夜空を見上げてた。
…なんか
「浸ったな。」
相「浸っちゃったね。」
…
「ふっ…」
相「くふっふふふ。」
「くく。やめろよ。被せんなよ。」
相「えー?ふふ。俺が悪いの?」
「ふっ、おら!手動かすぞ!」
相「くふ。はーい。」
ずっと…は難しいかもしんないけどさ、これからも雅紀と一緒に頑張っていきたい。
そう思ってる。